ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、自殺者が15年ぶりに3万人を切る可能性が出てきた背景について解説する。 * * * 日本では14年間、年間3万人を超す自殺者が出ている。僕も自殺予防の講演を頼まれ、「生きているって素晴らしい」というタイトルで幾度も話をしているのだが、自殺を減らすのは、非常に難しいと感じていた。 ところが、驚いたことに、最近自殺が減りだしているのだ。僕は、一般社団法人社会的包摂サポートセンター『よりそいホットライン』の評価委員を務めているのだが、そこでその事実を知った。 『よりそいホットライン』というのは、24時間どこからでも無料で、どんな相談でも受け付けている相談窓口で、多い日には1日4万件のアクセスがある。昨年の10