なぜ「精神疾患教育」が復活するのか さかのぼること約40年前、1978年告示の高校の学習指導要領から精神疾患の記述が消えた。東京大学大学院 教育学研究科 身体教育学コース 健康教育学分野 教授の佐々木司氏によれば、「ゆとり教育」がきっかけだったという。 「授業時間と学習内容を減らすために、学習指導要領から削られたのです。ただ、それまで授業で教えていた内容も、当時は旧優生保護法(※)の時代で『精神疾患は危険』という認識が強く、決して十分と言えるものではありませんでした」 ※1948年に「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に制定された法律。96年に「母体保護法」に改正され、障害者差別に当たる部分などが削除された 学習指導要領の改訂により、22年度から高校の保健体育で「精神疾患の予防と回復」を学ぶことになった背景については、次のように説明する。 「昔は精神疾患イコール統合失調症と捉えられてい