小学3年生の頃、どうしても犬を飼いたくて仕方がなかった。 何度親に頼み込んでも、即座に却下される日々。 ある時、俺に天啓が降りてきた 犬を飼えないのなら、ぬいぐるみを飼えばいいじゃない。 ぬいぐるみの犬に、ひもをつけて飼い始めたのだ。 毎朝、ぬいぐるみを引きずって散歩に行く俺。 母親はきっと呆れ顔だったと思う。 それでも、サイヤ人的理論を信奉し、季節が変わるたびに骨を折っていることに比べれば、物を散歩させるくらい、まだマシだったのかもしれない。 地面をずりずり引きずるので、やがてぬいぐるみはボロボロになり、いつしかどこかへ行ってしまった。 にもかかわらず、俺はひもをペットに見立てて散歩を続けた。 正真正銘の「ペット紐」、ヒモ太の誕生である。 手首のスナップをきかせることで、お手やお座りなど簡単な芸を覚えさせることもできた。 また、ヒモ太はひもであるがゆえに、学校にも連れて行ける。 ひもをペ