~「Jazz The New Chapter」と「ジャズ史」を通して眺め返す~ ――「今、マイルスは底値だ」この言葉は、2016年3月22日に慶應義塾大学の三田キャンパスで開催された「マイルス再論」という講義形式のイベントで、菊地成孔さんによって発言されたものだ。人によっては、菊地さんがこのような発言をしたことに驚いた人もいるだろうし、それもさもありなんと納得した人もいるだろう。 2016年という年は、マイルス・デイヴィスにとって没後25年であり、生誕90年にあたる節目の年である。アメリカではドン・チードルが監督/脚本/主演等を兼ねた映画が公開され、その劇伴を一部担当したロバート・グラスパーによる(いわゆる)トリビュートアルバム《Everything's Beautiful》も発売されるなど、改めてマイルス・デイヴィスについて考えなおす機会となりそうだ。では何故、このタイミングで菊地さんに