インターネットをぼんやりと眺めていると、熱気に満ち満ちている人に出会うことが多い。 その人達は、世界のあらゆる現象に対して、とにかく強い感情を持っていて、とんでもないほどの知識量と文章で武装して、論戦を戦わせたり、そうでなくても、継続的に呪詛を吐き続けたり、ラブコールを送ったりしている。 それを見てよく思うのは、自分は感情に対して鈍感な人間なのだろう、ということである。繊細な人間は、世界の持つ不条理だったり、優しさだったりに動かされてしまう。 そして、憤り、傷つき、怒り、或いは感動に打ち震える。それが創作物という形をとって現れるのだと思う。 自分は、そのような人間にはなれない。 物心がついた頃から、感情に薄い膜が張ってあるような感覚がある。心を動かされるような出来事は殆ど無いが、かといってそれが辛いわけでもない。常にぼんやりとした満足感と空虚感に包まれている。 伊藤計劃の「ハーモニー」で、