僕は岐阜県の田んぼの隙間で生まれ山の斜面で育ったので、いわゆる田舎と呼ばれる地域がときおり浴びせられる、「何もない」という言葉の重みがわかる。そこには暮らす人がいて、家があって、毎日の生活がある。人がいる以上、ここは何もない場所なんかでは決してないのに。 いっぽうで、自分はいま、ライターとしてのミッションと共にここへ訪れた。どこかへ行って、読者の心をつかむ面白ネタを見つけて、記事を仕立てねばならない。時間も限られていて、車はない。そういう時に口を突いて出る言葉もまた、「何もない…」なのであった。 そういう矛盾を抱えながら、この駅に降り立ったのだ。 ※この記事は年末年始とくべつ企画「新幹線の駅でひとりだけ置き去りにされたい」の記事です。 インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)