近年大きな問題になり、今後ますます深刻化していくと見込まれるのが、両親の家(=実家)の相続。両親が亡くなった後、子供たちが誰も住まなければ実家は処分するしかないが、相続した後に売ろうとしても売れない例が増えているのだ。しかし、大阪国税局出身の秋山清成税理士(相続税専門)は、この深刻な悩みに対して「対策方法はあるんです」と言う。元国税のプロが教えるその秘策とは――。 売れない実家 まず、空き家を処分できずに大変困っている実例を挙げます。 2年前、関西の都市部に住む50代のサラリーマン男性の父親が亡くなりました。 母親はすでに亡くなり、兄弟のいない男性が唯一の相続人です。農家だった父親が遺した財産は、郊外の戸建てと小規模の田畑、そして約900万円の貯金でした。 男性は都市部でマンションを購入して妻子と住んでいるため、父親の家と田畑は必要なく、相続後に売却するつもりでした。父親の家の周囲は空き家