2016 - 11 - 12 或る老人 最高の肉体と思想を持った廃人 nursing journal id:alice_cube 読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる @Project_Moaをフォロー その老人はある日スーツを着てやってきた。細身で長身。優しそうな面持ち、何より顔に品がある。手を引かれてはいたが、歩き方もスマートでその雰囲気はまるで面会者のよう、むしろ付き添っている奥様の方が施設に相応しく見える。しかしながら、現実的には、そのご主人が本入所となる予定で、介護度は5、実はその老人はまったく意志の疎通がとれない廃人のような男性であった。こちらからの問いかけに関しては『あぁ、、、』としか答えることが出来ない。接すれば接するほどに残念で、その優しそうな笑顔はただ惚けてしまっているにすぎないのだ。 その日、カンファレンスを終え、その老人の終の住処は我が施設となった。部屋に