甲府地裁では10月に入って2件の裁判員裁判が相次いで開かれた。だが、肝心の裁判員たちが写真や映像として報じられることはなかった。地裁にも県内メディアにも未体験の領域であり、裏側には双方のせめぎ合いがあった。初の裁判員報道が残した課題を検証する。【中西啓介】 ◇会見、異例の撮影禁止 過熱取材防ぐ自主ルール 裁判員には、国民なら誰もが選ばれる可能性がある。どんな人たちが選ばれ、法廷や評議で何を思ったかを伝えるのは、報道側にとって最優先の課題だ。 県内の新聞・放送12社が加盟する山梨司法記者会は、22日の県内最初の裁判員裁判(殺人未遂事件)の判決に際し、記者会主催で裁判員の記者会見を開くことを求めた。だが、地裁は「(記者による接触は)裁判員の負担になる」として、会見出席への説得は地裁がすると強く主張。記者会側は「やむを得ない」として受け入れた。 22日の記者会見には、裁判員5人と補充裁判員1人が