米政府が1960年代に、ソ連との核戦争が起きた場合は両国などで1億人以上の死者が出ると推計していたことが公開された米政府の公文書でわかった。 米国の非営利団体「国家安全保障公文書館」が、複数の政府資料を公表した。61年の国家安全保障会議の記録によると、ソ連の先制攻撃で核戦争が起きた場合、米国で最多で7100万人、ソ連と中国で7600万人の死者が出るとの予測をNSCのスタッフがケネディ大統領に報告した。 同席していたラスク国務長官の回顧録によると、このとき初めて死者数の推定を聞かされたケネディ氏は衝撃を受け、「それでも我々は自分たちを人類と呼ぶのか」と語ったという。 当時はソ連によってドイツにベルリンの壁が建設されるなど、米ソの緊張が高まった時代だった。同公文書館によると、国家安全保障会議がまとめていたこうした資料が公表されるのは初めてという。(ワシントン=大島隆)