「今思い出しても、気味の悪いほど大きくて、オレンジがかった黄色の満月でした。狼男でも出そうな雰囲気やなと、女房と話していたくらいなんです」 1995年1月16日の夜、香港旅行から工藤さん夫妻は芦屋の自宅に帰ってきた。工藤さん夫妻には、2人の娘さんと男のお子さんがひとりいる。当時、末っ子の長男はまだ幼稚園に通っていた。夫妻は香港にいく前に、泰子夫人の実家の両親に長男を預けていた。実家は神戸でうどん屋をやっていた。 「戻ってきてから、息子を迎えにいくのは明日にしようと話していたのですが、何か虫の知らせというのか、不安めいたものがあって、やはり今夜中に迎えにいこうということになって妻と出かけたんです」 神戸に着くと、泰子夫人の両親に礼をいい、息子を車に乗せて芦屋に戻った。満月を見たのは、その帰宅途中だった。何か不吉な予感めいたものを感じた。 その晩、久し振りで親子3人、畳に川の字になって眠った。
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