離郷を強いられた人たちに候補者の訴えは遠かった。26日投開票が行われた福島県知事選で、前副知事の内堀雅雄さん(50)が初当選した。福島再生の針路を決める重要な選挙だったが、政策論争は低調。投票率は45.85%と低迷した。とりわけ県外避難者4万6000人に論戦は現実味が薄く、古里の将来像を描けず、棄権した人も少なくなかった。 ◎県外避難者、疎外感/判断材料乏しいまま <県政に不信感> 「誰がどこで演説しているのか、何を訴えたいのかもよく分からない」 飯舘村から栃木県上三川町に避難する会社員男性(44)は、一票を投じることができなかった。 選挙公報は届いたものの、舌戦は直接耳に入らない。インターネット選挙も解禁されたが、自宅はネットに接続していない。 「選挙がこんなに遠いとは。自分のたった1票では、きっと何も変わらないだろう」 判断材料が圧倒的に乏しいことに気付いた時、諦めと疎外感を