「脳を鍛えるには運動しかない」という本を読んだ。 トンデモ本の臭いがプンプンするタイトルだが、著者のジョン・J・レイティはこれまでに優れた脳科学の本を何冊も出している。 本書もきちんとした脳科学に基づいて書かれた本である。 この著者はADHD当事者の精神科医であり、ハーバード大学医学部准教授である。 要はADHDの世界的権威である。 「脳を鍛えるには運動しかない」という邦題だと、胡散臭い本という印象を受けるが、原題は「エクササイズと脳の革命的な新科学」である。 レイティによれば、鬱にせよADHDにせよ、痴呆症にせよ、有酸素運動の効果は非常に大きい。 有酸素運動により、脳内物質が分泌され、脳が鍛えられるのだ。 ADHDの改善にはドーパミンとノルアドレナリンの分泌を増やすことが重要だが、それには運動が最適である。 ADHDは「やる気」がないのが問題だが、これは脳の報酬中枢に問題があるからである