豪州を初訪問したオバマ米大統領が首脳会談で海兵隊を同国に常駐させる合意を発表したことは、南シナ海などで強引な海洋権益拡大を図る中国への牽制(けんせい)を狙った戦略的決定といえる。 中国に国際規範を守らせることは東南アジア諸国に共通する課題だ。オバマ外交の「アジア太平洋シフト」の第一歩として合意を評価し、日米豪の連携強化につなげたい。ただ、米軍の分散配置で東シナ海方面の抑止の実効性が減るようでは日本の安全が損なわれる。野田佳彦首相は沖縄の海兵隊普天間飛行場移設の重要性を改めて認識し、是が非でも移設を実現させなければならない。 豪州は米国との同盟60年を迎えたが、米海兵隊を常駐させるのは初めてだ。ギラード首相との共同会見でオバマ氏は「アジア太平洋関与の強化を明瞭に示す」とその意義を説明した。中国に対しては「国際規範を守り、責任ある行動をとるよう明確なメッセージを送る」と述べた。 南シナ海の入り