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ブックマーク / hiroyukikojima.hatenablog.com (14)

  • 数学を教える人が読んでおきたい論理の本 - hiroyukikojima’s blog

    ぼくは、以前から、論理とゲーム理論とをクロスオーバーさせたを書きたい、というテーマを持っており、それは拙著『数学的推論が世界を変える〜金融・ゲーム・コンピューター』NHKブックスで果たすことができた。 このを書くために、今まで、けっこうな冊数の数理論理学の教科書を読んできた。その中でめぐりあったのが、ゲンツェンの自然演繹と呼ばれる推論規則のセットであった。推論規則というのは、数学の証明で用いられる推論をできるだけ少ない数でセットにしたもので、おおわくではヒルベルトの体系、ゲンツェンのシークエント計算、ゲンツェンの自然演繹、というのがあって、それぞれの演繹能力は同じだけど、体系自体は異なるので、何をしたいかによって有利不利(向き不向き)がある。この3つの中で、普通の数学の証明で利用されている推論の方法は自然演繹が最も近いものである。 ぼくは自然演繹の体系を、鹿島亮『数理論理学』朝倉書店で

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  • 統計学の面白さはどこにあるか - hiroyukikojimaの日記

    先日、とあるパーティで、統計学者の松原望先生と会った。 松原望先生は、早期からベイズ統計学の重要性を世にアピールしてきた先駆者である。ぼくは、経済学部の大学院在学時に、選択科目ではあったが、松原望先生の「ベイズ統計学」という講義を受け、そこでベイズ理論の指南をしていただいた。ぼくは『確率的発想法』NHKブックスや『使える!確率的思考』ちくま新書の中で、ベイズ理論を紹介していて、それが多くの読者にウケて、この二冊はセールス的にも良い実績を出しているのだけど、正直言ってここに書いてあることの多くは、松原望先生の講義の受け売りである。そういう意味では、下品ないいかたになるが、大学院の数ある講義の中で最も「金に換えることのできた」講義が先生の講義だった、ということになる。 そのときは、放送大学の教材であった『統計的決定』というを教科書に使った。これがめちゃくちゃいいで、今でもベイズ統計学に関し

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  • 『入門ベイズ統計』の読みどころ - hiroyukikojima’s blog

    今回は、前回の日記の補足。 前回の統計学の面白さはどこにあるか - hiroyukikojimaの日記で松原望先生の 入門ベイズ統計―意思決定の理論と発展 作者: 松原望出版社/メーカー: 東京図書発売日: 2008/06メディア: 単行購入: 107人 クリック: 2,061回この商品を含むブログ (46件) を見るを紹介した。そのときは、このを手にしていなかったので、早速注文した。そして今、手に入って、ぱらぱらと眺めてみた。そう、予想通り、これは名著『統計的決定』放送大学に大幅加筆をしたものだった。というわけで、紹介してしまった手前、責任をもってもうちょっとフォローしなければ、と思ってこれを書いている。 このは確かに名著である。その理由をいくつか挙げてみよう。まず挙げるべきは、 ベイズ推定の哲学的背景について包み隠さず正面から書いている という点である。前回も書いたが、ベイズ推

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  • オリバーサックスの描いた「障害」 - hiroyukikojima’s blog

    ぼくの新著『数学でつまずくのはなぜか』を、小飼弾というかたがブログで書評して下さった。それは以下。 404 Blog Not Found:数学友達だ! - 書評 - 数学でつまずくのはなぜか これはあまりにすばらしい書評だ。たぶん、書いた人よりもこのの内容を良く理解しているよ。笑い。こういう人がどこかにいると思うから、(思ったほど売れなくても)を書く、という仕事を続けてられるんだよな。しかし、小飼さんが紹介したとたんにアマゾンのランキングがはねあがったのがすごかった。ネットに住み着く女神みたいな存在だね。ギブソンの小説に出てくるやつ。 そんなわけで、(どんなわけじゃい)、今回も新著のモチーフについて追加的な解説をしようと思う。(営業、営業)。 このが裏のテーマとして「障害」のことを扱っていることは、『数学でつまずくのはなぜか』 - hiroyukikojimaの日記に書いた。 ぼ

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  • オートマトンの食べ方 - hiroyukikojima’s blog

    昔、某所の日記に、次のようなアホ話を書いた。 オートマトンというのは、オートミールの姉妹品であり、羊肉をベースにした 簡易で栄養価の高いべ物である。オートミールは、そのまま湯で温めてべる 方法と、牛乳と砂糖をかけるべ方があるが、オートマトンの場合、左から右へ と一粒ずつ、取っては口に入れて味わい、また取っては口に入れて味わい、という べ方が指定されている。オートマトンの高級品にチューリングマシンというの があるが、なぜこのようなべ物らしからぬ名称がついているかを筆者は知らない。 そうしたら、畏友の物理学者・加藤岳生くんが、次のようなコメント を寄せてくれた。(無断転載。いいよね?) 「うちの研究所の近くではセルタイプのオートマトンをまれに見かけます。 一個一個が小さな容器に入っているやつですね。容器はたいてい一列一組で売ら れていているのですが、なぜか空のセルもまじっていています

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  • 宇沢師匠のこと - hiroyukikojima’s blog

    ぼくは、人生の中で、運命的な出会いというのを何回か経験した。 それらの出会いは、現実のぼくの運命を大きく変えてしまい、ぼくの「いま」を生み出すこと となった。中でも経済学者・宇沢弘文師匠との出会いが、最も大きなものだった。 宇沢先生と出会ったのは、世田谷区の開催した「市民大学」という市民講座だった。 ここでぼくは、宇沢先生から2年間にわたってゼミの指導を受けた。 そもそもは、ミーハーであり、区の広報などにもくまなく目を通すつれあいが講座を 発見した。ぼくは宇沢先生の息子さんと大学の数学科で同期だったので、先生の名は 知っていた。だから、そんな著名な学者に、非常に安価で教えを受けられる講座が あるのなら、受けない手はないと、いさんで申し込んだのだ。当時職業が塾講師 だったので、昼間は比較的暇だったから、受講が可能だった。 そこで宇沢先生から受けた講義は、あまりに衝撃的だった。 宇沢先生は、市

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  • クリスマスも正月も仕事をしてたのだ - hiroyukikojima’s blog

    三賀日は、結局、家で仕事をしていた。 指導している院生の修論の仕上げにつきあってたのもあるけど、主には、 1月20日に発売される新著 『数学でつまずくのはなぜか』講談社現代新書 の最終校正をしていたからだ。 そういえば、初校を校正したのは、クリスマスだった。編集者の 陰謀にみごとにはめられたようだ。 それで思い出したのは、ディケンズの名著『クリスマスキャロル』である。 ぼくは中高生のとき、クリスマスには必ずディケンズの『クリスマスキャロル』を読んだ。 いろんな文庫で違う翻訳が出ているので、毎年違う翻訳を読んでいくことにしていた。 薄い小説なので、クリスマスイブの一日で読めてしまうのがちょうどよかった。 ご存じだと思うが、『クリスマスキャロル』というのは、イブの夜に従業員を働かせて家族 と過ごせなくするごうつくばりの経営者スクルージを死んだ親友の幽霊がこらしめる話である。 息子がもう少し大き

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    agw
    agw 2008/03/03
  • 至るところ微分不可能殺人事件 - hiroyukikojima’s blog

    坂口安吾の傑作推理小説に『不連続殺人事件』というのがある。 これは、たぶん、「連続殺人事件」という用語をもじったものなんだと思う。 推理小説としては、パロディではぜんぜんなく、非常にタイトな正統派のミステリーであり、 トリックも秀逸だから、未読なら大お勧めだ。 さすが、天才安吾である。 でも、この「連続」→「不連続」というイノベーションを眺めるにつけ、 ついつい数学関係者として、ちゃちゃを入れたくなってしまう。 とりわけ、ぼくは、「大学への数学」という雑誌で、「数学パロディシアター」 というのを20年にわたって単発的に書いてきているほどのパロディ好きである。 最新作は、昨年の、「デルノート」というやつで、これは 「ノートに問題を書くと、それがそのまま入試に出る」 という死に神からもらったノートを使って合格を勝ち取ろうと する受験生・天神頼(あまがみライ)と、それを阻止しようとする 謎のスイ

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  • 女が数学を愛するとき - hiroyukikojima’s blog

    今期、楽しみに観ている深夜アニメは、「カイジ」と「しおんの王」だ。 とりわけ、「しおんの王」は、女流棋士ものということで、めっちゃ盛り上がる。 主人公の安岡紫音がロリ系で、もうしぶんなし、なんだけど、 ぼくが当初ファンになったのは、二階堂沙織のほうだった。 凛とした態度と、セーラー服の取り合わせが、もうバッチグーなのである。 ただ、セーラー服から私服に着替えると、急にボヨヨンになるのは どうしたわけなんだ、などと嬉しい疑問が浮かぶ・・・ ってなことをいいたいのではない。 注目は、もう一人の主役級キャラの斉藤歩だ。 「彼女」は、実は、男の子である。男なのに、女を装って、女流棋士として 戦っているのである。 理由は簡単。女流のほうが、棋力が低くても、すぐに頭角を現し、 賞金を稼ぐことができると考え、それを狙ってのことなのである。 性別で区分される職種は、はっきりとルール化されていないが 結果的

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  • 泡坂妻夫さんと会ったときの話 - hiroyukikojima’s blog

    ぼくは1993年、『数学セミナー』の巻頭コラムを担当した。 この雑誌は、ぼくが中学・高校のときに夢中になったものだけに、 この仕事はとても名誉であり、嬉しい仕事となった。 その連載の第1回では、奇術における数理トリックを紹介した。 まず、デビッド・カッパーフィールドがテレビで行った驚異的な奇術の紹介。 相手に予定したカードを取らせることを、専門の言葉でフォースというが、 何千万人という視聴者全員にフォースを仕掛けたマジックは、これ以外には知らない。 しかもそのタネは、数理的なものであり、数学の証明によく現れる「市松模様塗り分け」 というテクニックだった。 その次に紹介したのは、推理作家であり、マジシャンとしても有名な泡坂夫の数当て奇術である。 これは、客に勝手な数を思い浮かべてもらい、16個の数を書いた5種類のカードのうち、 どれとどれに思い浮かべた数が書いてあるかを言ってもらう。 そし

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  • とぼけた物理学者とその息子 - hiroyukikojima’s blog

    まあ、ドラマ「ガリレオ」が大はやりということもあって、今日はこんなネタ。 これはだいぶ昔、職場にバイトに来ていた応用数学系の院生から聞いた笑い話。 その院生の父親は物理学者で、父親のおもしろ話なのだが、なにせ、ぼくは物理にうといし、 うろ覚えで書くので、院生がしてくれた実際の話とはかなり(とりわけ物理の部分について) 違ってしまうかもしれないことを予めお断りしておこう。 その院生が一家団欒、家族でテレビを見ていたときの話だ。 テレビではお笑い番組をやっていて、お笑いタレントが牛乳を飲もうとしているのだが、 牛乳のふたを開けると牛乳が勢いよくビンから飛び出して、空中に舞いあがってしまって、 うまく飲めないどころか鼻から入ってしまう、というよくあるコントである。 ところがその院生の父親はそれを見ながらこういったのだそうだ。 「物理学的におかしい。こんなことはありえないはずだ」 それを聴きながら

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  • 13歳の冬、誰にも言えなかったこと - hiroyukikojima’s blog

    昔、塾で教えていたときのこと。 とある中1の女の子を受け持った。 母親がとても熱心で、どこかからうちの塾のことを聞き込んで 娘さんを連れてきたんだと思う。 その子は一風変わった娘だったけれど、見た目では、そんな に人と違うようではなかった。 でも、その子は、明らかに数学との関係の上で、 トラブルを抱えていた。 それは文字式の操作に如実に表れた。 とにかく、文字式の記号処理の規則に従うことが できなかった。 ぼくは、半ば意地になって、彼女のためだけのプリント を作った。すべての文字式計算の操作を1ステップずつ 分解し、穴埋め問題にし、これ以上分割するのは不可能、 というところまでこなごなにしたのだ。 彼女は、その1ステップずつは、どうにかこうにか 進むことはできた。けれども、その1ステップずつの 操作の「連続性」を捉えることができないのだ、 とわかった。 どんなに練習を繰り返しても、プリント

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    agw
    agw 2008/03/03
    思いもかけず、泣いてしまった。
  • 数学オリンピックについて思うこと・その2 - hiroyukikojima’s blog

    前回に引き続いて、数学オリンピックのことを書く。 前回は、数学オリンピックについて、けっこう否定的なことを書いたが、思い出的にはいろいろ楽しいことも多い。最も思い出に残っているのは、次のような問題だ。 「ある世界的組織は6カ国のメンバーから構成される。組織のメンバーリストには1978人が登録し、各人が1,2,・・・,1978番と番号付けられている。このとき次のようなメンバーが少なくとも一人はいることを証明せよ。『その人の番号は同じ国の2人の人の番号の和であるか、あるいは同じ国のある人の番号のちょうど2倍である』」 この問題は、1978年のルーマニア大会で出題された問題で、出題中の最難問であった。この問題を教えてくれたのは、数学科の同級生であり、塾でもいっしょにバイトをしたぼくの親友だった。彼は、何年間も考え続けているが、解けていない、といっていた。しかも、この問題は例の「フェルマー予想」と

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  • 数学オリンピックについて思うこと・その1 - hiroyukikojima’s blog

    Wired visionのブログ連載で宇沢先生の「教育に関する経済理論」を紹介するために先生の著作『日教育を考える』(岩波新書)を読み直した。 読み直してみると、あまりにすばらしく、自分の今回の著作『数学でつまずくのはなぜか』(講談社現代新書)がめちゃめちゃ大きな影響を受けていることをいまさらながら思い知らされた。(その記事は、http://wiredvision.jp/blog/kojima/200802/200802041600.htmlにアップしてある)。その宇沢先生の新書の中に、先生が数学オリンピックの選手強化合宿にゲストとして招かれて、経済学の話をしたときのことが書いてあり、再読して懐かしく思った。なぜなら、あまりの奇遇にも、まさにちょうど同じとき、ぼくは合宿のコーチの一人だったからだ。(担当した日が異なったうえ、宇沢先生がゲストだとは知らなかったので、お会いすることができな

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