「自分たちで工夫して、誰もやったことがないことを、わくわくしながらやってみよう」。北海道・十勝の本別町で農業法人を経営する前田茂雄さんは目を輝かせながらそう話す。前回は前田さんが「草創期のドタバタ」のなかで会社という組織をどう育てようしているのかを紹介した(2月10日「『共通1次』で鍛える農業経営」)。 今回はその続編。テーマはどんな作物をつくるかだ。前田さんが専務を務める前田農産食品が栽培している基幹作物は小麦とトウモロコシ。小麦に関して言えば、「誰でもつくっている作物ではないか」と思われるかもしれない。だが、テキサスA&M州立大学とアイオワ州立大学で米国の大規模農業経営や流通を学び、20代半ばで就農した前田さんは、ある素朴な疑問を持った。 センサーでコントロール 「自分のつくっている小麦はおいしいんだろうか」 自分の栽培した作物の味が優れているかどうかを知りたい。当然の問いかけと思われ