政府の事故調査・検証委員会が平成24年7月にまとめた報告書は、福島第1原発事故における菅直人元首相をはじめとする首相官邸サイドからの介入についてこう総括した。 「介入は現場を混乱させ、重要判断の機会を失し、判断を誤る結果を生むことにつながりかねず、弊害の方が大きい」 これは当然、吉田昌郎元所長からの聴取結果を反映しての結論だろう。吉田氏は、直接官邸と現場がやりとりすることの違和感を繰り返し語っている(23年8月8、9日の聴取)。 「何で官邸なんだというのがまず最初です。何で官邸が直接こちらにくるんだ。本店の本部は何をしているんだ」 「最初、官邸と電話なんかする気は全くなかった」 「官邸と現場がつながるということ自体が本来あり得ない」 その上で、不眠不休の極限状況の中で菅氏から受けた電話の内容の空疎さについて、こう明かしている。 「水素爆発はどういうメカニズムで起こるんだということとか、それ