20年前の1994年、8月31日。 その日、あなたは何をしていただろう。 今よりも若く、今よりも一日が長く感じれていた時節だったはずだ。 20年前の8月31日は、すでに忘れてしまった一日かもしれない。取るに足らない普通の日。いつもの一日と変わらずに過ぎていった夏の一日。 だけど、僕はその日を覚えている。 そうです。 小沢健二の「LIFE」を一日中聴いていたのです。 買ったばかりのCDアルバムの封を開けて、でっかいCDラジカセで何度も繰り返して聴いていた。 帰宅部の僕にとって、時間だけはいくらでもあった。もうすぐ終わってしまう夏休み。暑過ぎた1994年の晩夏。 「LIFE」に収められた9曲の楽曲は、アーバンで明るく重厚かつ多義的で、時折、季節の変わり目の雨のように響き、枯葉に埋れた並木道のような様相を見せる。 西日のなかで僕はあのアルバムを聴いていたことをはっきりと覚えている。青い盤面のデザ