24勝を挙げ、球団の日本シリーズ初優勝に大きく貢献した田中将大投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)。しかし入団当時、監督を務めていた野村克也氏は、彼の将来に関わる大きな後悔があるという。 * * * 1年目のうち、どこかで彼を2軍に落とそうかと考えていた。18歳で鳴り物入りで入団して、うぬぼれたり天狗(てんぐ)になったりする可能性がある。下積みを経験させたほうが、彼の将来にとってプラスになるのではないか。日の当たることが少ない2軍で、どうすれば1軍に上がれるのか、悶々(もんもん)とさせる日々が若い彼には必要ではないかと考えたのだ。 しかし、直接話をしてみると、受け答えがしっかりしていて、謙虚だった。彼ならうぬぼれることはないだろう。先発がいないチーム事情もあった。 ところがプロ入り初先発から3試合連続で勝ち星がつかず、精彩がない。ここで改めて2軍に落とすことも考えたが、初心貫徹