処刑直前に撮影されたとされるチャウシェスク大統領(右)とエレナ夫人の映像=1989年12月25日、AP 【ブカレスト中尾卓司】ルーマニアの独裁者チャウシェスク元大統領が処刑された89年の「ルーマニア革命」から20周年の節目を前に、革命後に「救国戦線評議会」議長を務めたイリエスク元大統領(79)がブカレストで毎日新聞と会見し、「(政権転覆後も続いた)市民の犠牲を止めるため処刑を決断した」と証言した。他の東欧諸国は無血で体制転換を遂げたが、ルーマニアは多数の市民が犠牲となった唯一の国だった。 89年12月22日、チャウシェスク元大統領(当時71歳)とエレナ夫人(同70歳)は、ブカレスト中心部の共産党本部ビルからヘリコプターで脱出。独裁政権が崩壊した。元共産党書記の経験を買われたイリエスク氏は、文化人や軍当局者らと「救国戦線評議会」を結成したが、「(評議会のメンバーは)寄せ集めで事前準備もなか