――壊す。 それが多分己の本質であると、ヴィータは思っていた。 己の敵を。主に害を為す魑魅魍魎を。――たった一つの幸せも。 叩いて撃ち抜いて貫いて砕いて壊す。 それが自分。 壊すしか能がない、哀れな人形。 だがそれは、かつての話。 心優しき主を得て。 戦闘とは無縁の日常を過ごし。 頼れる仲間と共に深き闇を退け。 司法機関に勤め、正義の為に槌を振るう今は。 そんな自分から脱却出来たと、思っていた。 大切な主を。信頼する仲間を。愛すべき日常を。 ――守る。 それが今の自分の役割。 『守護騎士』の名に相応しい、自分の真の役割。 そう思っていた。 『思っていた』のだ。 結局の所、それはただの妄想でしかなかったのだ。 本質は、変わらない。変えられない。 絶対に屈さない心を持った親友の様に。 己の騎士道を曲げない仲間の様に。 自分もまた、変わらない。 ああ、そうだ、そうなのだ。 廻り回るこの世界で。救