「VIP(要人の)姿だけ映し出される、ひどい開会式になってしまう」。23日の東京五輪開会式で制作を担当した組織委員会関係者が本紙の取材に応じ、本番を前にした複雑な思いを語った。制作段階から「政治」に翻弄されたあげく、異例の無観客開催に。さらに式典目前になり、演出を担当する著名人の過去の問題発言が相次ぎ発覚し、「どんな演出をしても国民からたたかれそうだ」と懸念する。(原田遼)
新型コロナウイルス緊急事態宣言下での東京五輪開幕まで1週間を切った。東京都では17日まで4日連続で新規感染者が1000人を超えるなど、感染状況は明らかに悪化傾向にあり、大会の中止を求める世論は根強い。だが政府には、状況次第で中止を検討する考えは既になく、このまま開幕を迎える方針だ。 菅義偉首相は16日、政府の東京五輪・パラリンピック競技大会推進本部の会合で「安全安心の大会の実現に向けて最後まで高い緊張感を持って取り組んでほしい」と話した。17日の読売テレビ番組では「たとえ無観客でも、感動を世界に届ける。難局を乗り越えられると発信することに意義がある」と強調した。 15日に開かれた都のモニタリング会議では、新規感染者の増加が今のペースで続けば、五輪閉幕直後の8月11日には直近1週間平均で約2400人に達するとの試算が示された。だが政府高官は「それくらいなら大丈夫。中止はない」と意に介さなかっ
政府は16日、菅義偉首相の8日の記者会見で指名されなかった報道機関が、会見後に提出した質問に書面で回答した。本紙は東京五輪に関し、新型コロナウイルス緊急事態宣言下で、国民の健康を危険にさらすリスクを冒してまで開催する意義を尋ねた。首相は一部競技の無観客開催などの対策を挙げ、「対策を徹底し安心・安全な大会の実現に取り組む」と従来の主張を繰り返し、意義については答えなかった。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は18日、東京都内の日本記者クラブで会見し、東京五輪・パラリンピックの感染リスクについて「無観客が望ましい」とする提言の内容を説明した。尾身氏らは同日、政府と大会組織委に提言書を渡した。「リバウンドが東京などでも起こり得る。開催の前でも感染の拡大、医療のひっ迫の予兆を察知したら、早急に強い対策を打ってほしい」と訴えた。
東京五輪・パラリンピックの選手ら訪日関係者向けに開発している健康管理アプリ(オリパラアプリ)の事業費や国民から「ありがた迷惑」などと批判の声が上がった、いわゆる「アベノマスク」の配布などを巡り、国会による会計検査院への検査要請が見送られることとなった。参院決算委員会で、契約の妥当性を調べるよう提出した野党の要請案に、「(同院の)検査事項が多い」として与党が同意しなかったためだ。(坂田奈央) 会計検査院への検査要請項目の決議は、全会派一致が慣例。野党は①全戸に2枚ずつ布マスクを配布した事業の詳細な経費をはじめ、②当初は73億円の事業費だったオリパラアプリなど新システムの契約手続きや管理③給付金事業の事務費④予備費の使用―について検査を求めた。だが、いずれも与党が同意せず、予備費に関しては政府に適切な措置を求める「措置要求決議」にとどまった。 決議に向けた協議は与野党の委員会理事らの間で行われ
みずほフィナンシャルグループ(FG)は15日、みずほ銀行のシステム障害の責任を明確にするため、坂井辰史社長の役員報酬の減額などの処分を発表した。 のべ700人超の役職員への聞き取りなどをした第三者委員会の報告書からは、みずほ銀行の理念である「一人ひとりがお客さま起点を徹底し、自ら考え行動する」とは真逆の顧客軽視の姿勢が浮かぶ。 「ATMのエラー発生が多発しています」。報告書によると、2月28日午前10時15分、業務委託先の管理センターからみずほ銀行の6つ以上の部署へ430件のエラーを検知したとの緊急メールが送られたが、対応に動く担当者はいなかった。通帳やキャッシュカードがATMに取り込まれるトラブルは最終的に5244件発生したが、それを想定できなかった。 複数の部署の担当者は午前11時12分にはATM前で顧客が立ち往生していることをSNS上の情報で把握。休日対応で人員の限られた問い合わせ電
政府は7日の参院決算委員会で、4~5月に入国した東京五輪・パラリンピック関係者の約85%にあたる約1700人が、新型コロナウイルスの水際対策として導入されている隔離措置を免除される「特例入国」で入国したと明らかにした。立憲民主党の福山哲郎幹事長は、特例入国した人の中には陽性と確認された人もいるなどとして対策の不備を指摘した。 内閣官房の担当者の答弁によると、例外的に入国が認められた五輪・パラリンピック関係者は、4月が991人、5月が1012人。このうち特例入国したのは、それぞれ865人と842人。内閣官房は本紙の取材に、隔離されなかったうちの1人が入国4日後の検査で陽性と判明したと明らかにした。この陽性者は、空港検疫や入国3日後の検査では陰性だったという。濃厚接触者はおらず、他に感染も広がらなかったという。
厚生労働省が賃金統計で短時間労働者の賃金を集計する際、2020年分から時給が高い大学教授や医師らを加えたのに、統計法で義務付けられた総務相への変更申請をしていなかったことが分かった。高給の職種を加えたことで平均の時給は前年比23%上昇。総務相が専門家の意見を聴くため諮問する統計委員会の審議も経ておらず、変更の手続きや意図の説明責任が問われる。 (渥美龍太) この統計は「賃金構造基本統計調査」と呼ばれ、重要度が高い国の基幹統計。厚労省は調査や集計の方法を20年分から大幅に変更することを決め、先月末に結果を初公表していた。集計対象の約3割を占める短時間労働者は、主にパートなどの非正規労働者で、一部に正社員も含む。 これまでは時給3000円超の医師や塾講師らを除く平均時給を算出。今回から厚労省は、短時間労働者の多様な働き方を反映するには全体像の把握が必要だとし、全てを含む「全体集計」に変更した。
新型コロナウイルスのワクチンは、国内でも複数のチームで開発が進められている。欧米で開発されて接種が進むのは、病原体に合わせて素早く設計できる新タイプの「RNAワクチン」。実は国内でもRNAワクチンの開発が治験直前まで進んでいたが、2018年に国の予算打ち切りで頓挫した。研究者は「日本は長年ワクチン研究を軽視してきた」と指摘し、欧米と差がついた現状を憂慮する。(森耕一)
東京五輪聖火リレーで目立つスポンサー車両を映し、ツイッターで約90万回再生された動画を3月28日、私は削除した。大音量の音楽やDJ(ディスクジョッキー)による異様な演出を問題視した動画で、削除という判断には「おかしい」という抗議の声もいただいた。なぜ削除したのか。背景にはメディアの動画公開を撮影から「72時間」とし、公道で撮影した動画すら規制する国際オリンピック委員会(IOC)の独自ルールがあった。(原田遼)
27日、ミャンマー・ネピドーで、国軍記念日の式典に出席したロシアのフォミン国防次官(中央)=ロシア国防省公式サイトから 【モスクワ=小柳悠志】ロシアがミャンマー国軍に対して武器輸出や軍事協力などで支援を強化している。軍高官が相次いでミャンマーを訪問したほか、2月のクーデターではいち早く国軍を支持。米中が繰り広げる東南アジアでの勢力争いで、ミャンマーを橋頭堡にくさびを打ち込む狙いがありそうだ。 ロシア国防省は2月3日付の公式紙「赤い星」で、「昨年11月の総選挙で不正があり、ミャンマー国軍は行動せざるを得なかった」と国軍の動きを追認した。世界的にも異例なクーデター支持だが、政治学者のマカルキン氏は「欧米にとって非難すべきクーデターは、ロシアにとって仲間づくりの好機」と語る。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く