フランスを代表するライシテ研究の第一人者による、フランス革命から二〇世紀初頭までのライシテが確立していく歴史を概説した一冊。現在のライシテが直面する変化についても若干の言及が加えられている。 『国教を立てることを禁じ、いっさいの既成宗教から独立した国家により、複数の宗教間の平等ならびに宗教の自由(個人の良心と集団の礼拝の自由)を保障する、宗教共存の原理、またその制度。国家と公立学校などの公的領域を脱宗教化することで、私的領域における宗教の自由を保障するライシテの公私二元論は、宗教的民族的出自から切り離された普遍的市民権のベースにもなっている。』(P9) 本書では脱宗教化と世俗化とは明確に区別される。脱宗教化とは『法律によってライシテに基づく公教育や政教分離が制度化される過程を示し』(P10)、世俗化とは『市民社会と文化・習俗において宗教の影響が減退する過程を示す』(P10)。この本では前者