民族ないしは民族集団(ethnic group)とは、文化(言語、習慣、宗教など)で区分される集団のことである。民族には「民族名」というものがある。 集団を区分する境界は、歴史的にも社会的にも変化し、また、民族集団が自己の集団から定義される 場合と、国家や他の民族集団と定義される場合にも齟齬があることから、民族集団は固定的で、永続的なものではない。すなわち「民族」は、社会構成的な概念であるという考え方がそれである。 ただし、近代国家制度の中では、さまざまな政治経済的あるいは法的な要因で、民族集団としての独 自性が一定の権利をもって保証される必要性がある——言い方を変えると、より本質主義的な概念だという理解である。その際には、民族集団としての文化的尊厳は尊重されなければならない対象になる。他方「人種」 という誤った信念(=つまり、ありもしないのにあると信じるフィクション=仮構を盲信する)は、