本を読んでいて、「この本は○○さんに読ませたい」って思うことがある。この感情に対して「なぜ?」を繰り返すと、「この部分を読んだらどう思うだろうか」「私が常日頃思っていることが上手く表現されている」「私の考えを理解して欲しい」「私と同じ考え方になって欲しい」なんてエゴにたどり着いちゃったりするのだけれど。 そんな気持ちで薦めた本を読んでもらっても、自分が読んで欲しかった部分は全く相手の記憶にも残ってなくて、別のどうでもいいところについて熱く語られてしまい、「そういう意味で薦めたわけじゃなかったんだけど…」としょんぼりするものだ。しかし、「この本は○○さんには合わないよ」と薦めなかった本に限って、「読んでみたら案外良かったよ」なんて言われたりする。 そんな経験から、人は、自分に都合の良い言葉を探そうとするものだと思うようになった。自分に都合の良い本を薦めても、その「良さ」は共有できないのだと。