かつては技術と統合の象徴 「お田植え」はどこへ行く? 社会学的皇室ウォッチング!/37=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉 田植えをされる天皇陛下(皇居内の水田で 5月18日)=宮内庁提供 季節はやや進んでしまったが、皇室の田植えについて考えたい。天皇陛下は5月18日、皇居内の水田で田植えをした。天皇の稲作は、「伝統」として受け止められることがある。しかし、実は違う。昭和初期に開始された「創られた伝統」だ。そのことを考えると、皇室と近代という問題が浮かび上がってくる。 「陛下は水色の長袖シャツと紺色のズボンに長靴姿で、うるち米の『ニホンマサリ』と、もち米の『マンゲツモチ』の苗を計20株植えた」(『毎日新聞』5月19日)。定番の記事だ。私が宮内庁担当記者だった1990年代半ば、「ニホンマサリ」「マンゲツモチ」という品種名を深く考えることなく毎年、記事にしていた。 だが、「ニホンマサリ」と「マ