中川多理さん製作の人形「ドラキュラ伯爵」(ブラム・ストーカー原作『吸血鬼ドラキュラ』より)と一緒に。撮影協力/パラボリカ・ビスこの記事の写真をすべて見る 十数年の休筆期間を経て、復活を遂げた作家・山尾悠子さん。世界を幻想的に描いた『飛ぶ孔雀』は次々に賞を受賞。AERA 2020年8月3日号では、山尾さんが時代の変化と女性作家が活躍する今について語ります。 【直木賞史上初。候補者全員女性という出来事からみる「時代の変化」】 * * * 山尾悠子さん(65)の連作長編『飛ぶ孔雀』は「火が燃え難くなった世界」を、卓越したイメージで描き出した。刊行されるや話題となり、泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞を次々に受賞した。 山尾さんのデビューは1975年。以来、寡作ではあるものの読者から熱望される作品を書いていたが、85年ごろから99年に至る長い休業期間に入る。本人の意思とは別に「