日本列島は梅雨真っただ中。この時期になると、電車内などに置き捨てられたビニール傘をよく見かける。そうした大量生産・大量廃棄される傘がある一方で、一つひとつオーダーメイドで傘をつくる「傘専門店」が注目を集めている。吉祥寺にアトリエを構える「イイダ傘店」だ。なぜオーダーメイドの傘をつくろうと思ったのか。店主のイイダヨシヒサさんにお話を伺った。 素材の特徴を生かしたデザインで一躍人気に 美術大学時代、テキスタイル(布地・織物)デザインを専攻していたイイダさん。周りの友人は主に衣類に使うための布を制作していたが、イイダさんが選んだのは「傘」。それが現在の仕事へとつながっているという。テキスタイルデザインを原点とするものづくりは、一般的なプロダクトデザインのアプローチとはまるで異なると、イイダさんは話す。 「一般的なデザイナーは“狙って”カワイイ柄やオシャレな柄を作りますよね。まずはデザインありきで