yalebooks.yale.edu 16世紀初頭のイングランドでは、800ほどの修道院が国の1/4の土地を所有するという現象がおきていて、1530年代の後半に、宗教改革で修道院が解散させられ、その跡地が国王や新しいエリートに所有されるようになったことは、初期近代のイギリスにおける大きな変化であった。修道院は中世に大学が形成される前に、昔からのテキストを保存し写本していた重要な哲学や医学の伝統を持つ組織であるが、大学の形成から何が起きたのか私にはよく分かっていなかったので、イングランドの解散に関する新しい研究書を読んでみた。非常に面白い本である。一つ重要な点は、その環境が常にペストの危機と直面していたことである。 1530年代のイングランドで修道院を解散させることは最初は議会の命令ではじまったが、それが実際に行われる過程は、修道院がある地域における、ローカルな政治、経済、人々の反乱、労働市
台北の陽明大学の Wen-Ji Wang 先生とご一緒に History of Psychiatry の東アジア特集号を刊行しました。中国を対象にしたものが3点、日本が3点、台湾が1点、香港が1点、そして韓国が1点です。これからは、これらの地域の深い研究だけでなく、その地域同士がどのように関係を持ったのか、そして世界の中でどのような意味を持ったのかなどの新しい視点が開かれています。 Akihito Suzuki and Wen-Ji Wang Introduction: Madness and psychiatry in East Asian countries in the modern period https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221097524 Wen-Ji Wang Managing Chinesene
www.bbc.co.uk BBCの in Out Time で プラトンのアトランティスについて論じていて、その政治的な内容や技術史的な内容が非常に面白かった。プラトン全集の第十二巻で、ティマイオスは種山恭子が、クリティアスは田之頭安彦が翻訳している。もともとソクラテスを含めて4人の人物が対話するという形式で、その最初の人物の名称がティマイオス、次の人物がクリティアスという名称である。アテネとギリシアの文脈で、どの政治家に特定されるかということも具体的に分かっているとのこと。 ティマイオスは比較的短い言及で、24e-25d に書かれている。私も含めて、多くの皆さんがここは読んだことがあると思う。面白いのはクリティアスで、113+ と表記されている10ページを超す長大な部分が、アトランティスを論じている。その内容は、神との関係、政治論、土木論、運河論、農業論、通商・運輸論、そしてそれらとつ
先日の Tokyo College で英語の講演会が開かれた。二回予定されている Pandemic and Cleanliness に関する講演会の第一回で、藤本大士君や HungYin さんが優れた講演をした。私は “The Global Re-distribution of Health and Cleanliness Risks: the Cases of Clinical Trials” と題して、治験という方法が公正さを目指すと同時に歪んだ状況を作り出す状況の話をした。これはオリジナルな研究ではなくて、大学院向けの講義の準備であり、医学史の専門家向けの話ではないが、とても面白い主題であって、機会を見つけては勉強している。 治験は20世紀の後半に導入されて、医療が前進するための重要な中核になった。ヘルシンキ宣言 (1964) などが軸になっているし、ナチス・ドイツや日本の731部隊
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く