2015-09-25 親子の絆なんて簡単に壊れるものだから。 私が小学生の時、母親が記憶喪失になった。夕方、家に帰る途中で交通事故にあったということを後で知らされた。翌日だったのか数日後だったのかは忘れてしまったけど父親に連れられて母親の病室を訪れた。父親からは予め、母親が私のことを覚えていないかもしれないから、そのつもりでいるようにと言われていた。 病室に入った私は母親になんと声をかけたのか覚えていない。もしかしたら声もかけずにただ立っていたのかもしれない。そんな私に母は賢そうなお坊ちゃんですねと言った。普段、片付けをしろだの宿題をやったのか?だの口うるさい母親が静かにそう言ったのだ。今日はわざわざ来てくれてありがとうとも言った。普段なら母親が言う言葉にいちいち感情をあらわにして反発してきたのだが、その日の母の言葉は、すっーと体をすり抜けていくように感じた。私は大人びた少年だったので、お
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