特発性肺線維症(IPF)の重症度分類は、 安静時の動脈血液ガス検査の酸素濃度(安静時動脈血酸素分圧) 6分間歩行試験時の酸素濃度(SpO2) でⅠからⅣの4段階で定められています。詳しくはこちらの記事をご覧ください▼▼▼ これら重症度別の予後を検討した研究が2015年に報告されています。 2003年から2007年に診断した特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした研究(いわゆる北海道スタディ)の後解析です。 Homma S, et al. Usefulness of a disease severity staging classification system for IPF in Japan: 20 years of experience from empirical evidence to randomized control trial enrollment. Respir Inve
いつもお読みいただき有難うございます。 今週は以下のような内容で報告させていただきました。全身性強皮症に伴う間質性肺炎の病期分類、そしてKL-6との関係です。ぜひご一読いただけましたら幸いです。 全身性強皮症に伴う間質性肺炎の病期分類(その1) 全身性強皮症に伴う間質性肺炎の病期分類(その2) 「全身性強皮症に伴う間質性肺炎の進展リスク:KL-6>1273U/ml」 「全身性強皮症に伴う間質性肺炎:KL-6が肺機能の推移を予測(イギリス)」 「全身性強皮症or混合性結合組織病に伴う間質性肺炎:バイオマーカーとしてのKL-6の可能性」 「全身性強皮症に伴う間質性肺炎:1年間の治療前後のKL-6の推移」 少しずつ、ではありますが、日々情報発信していきたいと思います。来週からも引き続きよろしくお願いします。 呼吸ケア−第4版 (リハ実践テクニック) メジカルビュー社 Amazon
昨日の記事で、全身性強皮症に伴う間質性肺炎では、病期分類として重症度が上がるにつれてKL-6の値が上昇することを報告させていただきました。 全身性強皮症に伴う間質性肺炎の病期分類は、2008年に報告されたGohらの基準を用いています。 Goh NSL, et al. Interstitial lung disease in systemic sclerosis: a simple staging system. Am J Respir Crit Care Med 2008;177:1248–54. これは胸部HRCTで病変の広がりが20%を超えるかどうか、努力肺活量(FVC)が70%を超えるかどうかで、limited diseaseとextensive diseaseに分類されます。 病変の広がりは、①大動脈弓部、②気管分岐部、③肺静脈合流点、④3と5の中間、⑤右横隔膜上、の5スライスで、
全身性強皮症に伴う間質性肺炎で、KL-6が1273 U/mlを超えると間質性肺炎が進行する危険性があることは報告されました ⇒「全身性強皮症に伴う間質性肺炎の進展リスク:KL-6>1273U/ml」 その他にも、全身性強皮症(Systemic sclerosis; SSc)もしくは混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease; MCTD)に伴う間質性肺炎の患者40例を対象とし、KL-6と疾患進行の関係を研究した報告があります。 Yamakawa H, et al. Serum KL-6 and surfactant protein-D as monitoring and predictive markers of interstitial lung disease in patients with systemic sclerosis and mixed
全身性強皮症に伴う間質性肺炎の病期分類には、limited diseaseとextensive diseaseがあります。 胸部HRCTでの病変の広がりと努力肺活量(FVC)で構成されたアルゴリズムを用いた分類で、下の記事のまとめていますのでご覧ください。 fibrosis.hatenablog.com この病期分類が報告された研究をさらに詳しくみてみますと、対象は215例の全身性強皮症に伴う間質性肺炎、患者背景は以下の通りです。 平均年齢49歳 男性:女性 = 41:174 努力肺活量(FVC)の平均値は79% 肺拡散能力(DLCO)の平均値は55% 肺病変の広がりの中央値は13.5% 蜂巣肺は全体の25%で存在 Goh NSL, et al. Interstitial lung disease in systemic sclerosis: a simple staging system
少し専門的な内容です。 実際に肺の構造は、肺の標本のレントゲン写真でこのように見えます。 Br:気管支、PA:肺動脈、PV:肺静脈 (Itoh H. Imaging of pulmonary tuberculosis--valuable educational resources for the study of diagnostic imaging of the respiratory tract. Kekkaku 2010;85:869–79.[Article in Japanese]より引用転載) 矢印は小葉間隔壁で、それに囲まれた領域は二次小葉と呼ばれています。 二次小葉は複数の小葉から構成されています。小葉ごとに色分けして、画像を横にならべるとよくわかります。 この二次小葉の中心に気管支に伴走する肺動脈があり、さらに小葉の辺縁(小葉間隔壁)に肺静脈があることが、視覚的に理解できま
いつもお読みいただき有難うございます。 今週は以下のような内容で報告させていただきました。 今後、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)をどのように評価し、どの患者さんに抗線維化薬としてニンテダニブの治療をすすめるのかが、臨床的な大きな課題です。 ぜひご一読いただけましたら幸いです。 「膠原病の肺病理:線維芽細胞巣の量的検討」 「関節リウマチ:間質性肺炎の年間発症率(イギリス)」 「肺線維症に関する10の研究課題2021(オーストラリアでの調査)」 「進行性線維化を伴う間質性肺疾患:進行を評価する基準案」 「肺拡散能力(DLCO)の低下は予後不良」 少しずつ、ではありますが、日々情報発信していきたいと思います。来週からも引き続きよろしくお願いします。 fibrosis.hatenablog.com
間質性肺炎において進行を評価する基準は様々報告されています。その中で肺機能検査はよく用いられる項目であり、重症度スコアにも用いられています。 特発性間質性肺炎を対象としたこの研究では、肺機能検査のなかでも、特にこの肺拡散能力(DLCO)の低下について検討されています。 Latsi PI, et al. Fibrotic idiopathic interstitial pneumonia: the prognostic value of longitudinal functional trends. Am J Respir Crit Care Med 2003;168:531–7. この研究によると、病理学的に通常型間質性肺炎(UIP)パターンまたは非特異性間質性肺炎(NSIP)パターンのいずれの群も、肺拡散能力(DLCO)の低下は予後不良と関連していました。 (ここでのDLCOの低下は、1
間質性肺炎の中には進行性に線維化が進行する一群があり、これらは近年、進行性線維化を伴う間質性肺疾患:PF-ILD)とよばれ注目されています。PF-ILDに関しては以下の記事もご覧ください▼▼▼ PF-ILDにおいて、疾患進行を評価する際にどのような臨床的な指標がよいのか、まだ明確に定まってはいません。症状や胸部CT所見、肺機能など様々な評価項目がありますが、臨床的に有用である可能性のある基準案が報告されました。 Cottin V. Treatment of progressive fibrosing interstitial lung diseases: a milestone in the management of interstitial lung diseases. Eur Respir Rev 2019;28. このレビューによると、以下のような項目が基準案として提示されています
関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis; RA)は、多発の関節炎を特徴とする膠原病ですが、間質性肺炎を合併することはよく報告されています。 イギリスの9つの施設から、1460例の関節リウマチ患者を対象とした研究が報告されました。少し前のデータにはなりますが、1986年から1998年の関節リウマチ患者を対象に約10年間の観察期間(最長は23年間の観察)を経た報告です。 Koduri G, et al. Interstitial lung disease has a poor prognosis in rheumatoid arthritis: results from an inception cohort. Rheumatology 2010;49:1483–9. 本研究の結果では、12586人年の間に43例(2.9%)の間質性肺炎が診断され、さらに死亡時に9例(0.6%)
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