<上野千鶴子氏の新著『在宅ひとり死のススメ』を読んで思う。この誰もが知る社会学者、そして「炎上上等」の論客に決定的に欠けているのは、自分には推し量ることができないもの、当人にしか分からない他人の事情に対する想像力なのではないか> 今回のダメ本 『在宅ひとり死のススメ』 上野千鶴子[著] 文春新書 (2021年1月) 上野千鶴子さんは、言わずと知れた超有名社会学者である。日本におけるフェミニズム研究を分野ごとつくり上げたと言っても過言ではなく、その功績の大きさは誰もが認めるところでもあるし、私も学生時代から著作を読んできた。だからこそ思う。今の時代、声を上げること、異議申し立てをすることでムーブメントが起こるようになったのは、上野さんが切り開いてきた、フェミニズム研究の蓄積によるものだ。 一方で、上野さんはネット上の炎上を全く意に介さない論客でもある。2017年の中日新聞のインタビュー記事「
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