年老いた母が無くなったのは、数年前の年明けすぐのことだった。体調を崩して数ヶ月入院していたが、最後は苦しむこともなく眠るように旅立った。昔で言うところの老衰だろうか。最後まで家族想いの人だった。 本人の意向で家族葬にしたのだが、これが大間違いだった。生前人付き合いが良くて明るい性格だった母は、老若男女を問わず友だちが多く、家族葬だとあらかじめ町会に話をしていたにもかかわらず、お通夜の席に次々と弔問の方々が足を運んでくださったのだ。実家近くに会場を借りていたのだが、葬儀屋さんに相談して急遽席を作り、私たち兄弟とその家族でお茶を出したり香典返しを渡したりと大騒ぎのお通夜になってしまった。昔から賑やかなことが好きだった母だけに、その様子を空の上から眺めていてカラカラと笑っていたかもしれない。 しかし、そのお陰で私たち子どもが知らなかった母の一面を皆さんからお聞きすることができて、それもまた母から