EUにおける非正規労働規制の焦点は均等待遇原則にある。パートタイムであれフルタイムであれ、有期契約であれ常用契約であれ、そして派遣労働者であれ派遣先労働者であれ、同じ職場で同じ仕事をする労働者は、賃金及び労働時間という基本的労働条件について差別されることなく働くことができる。こういった法政策のベースにあるのは、男女平等を先頭にして発展してきた均等待遇原則である。その中核に位置するのが同一労働同一賃金原則である。 これに対し、日本では同一労働同一賃金原則が成立しておらず、男女均等政策は企業内で女性労働者を男性労働者と平等に終身雇用慣行の中に組み込んでいく雇用管理政策という形をとった。これは「コースの平等」といえる。企業側は当初これに実質的に男女別である「コース別雇用管理」で対応したが、その後雇用形態別雇用管理に移行した。このため、2007年の改正パート法で差別禁止が規定されたのも正社員と同じ