日本人は決断できない、とよく言われます。米国務省の元日本部長が書いた『決断できない日本』という本もよく売れているようです。 この本によれば、福島原発事故の直後、米国が無人ヘリなどの支援リストを送ったところ、日本の官僚は「放射能で汚染された場合の補償はどうなるのか」という問合せを返してきたといいます。85年の御巣鷹山への日航機墜落事故でも、米軍は即座に、夜間行動可能なヘリの出動を申し出ましたが、日本政府はこれを断わりました。翌日、奇跡的に救出された少女は、「暗くなる前にはたくさんのひとの声を聞いた」と証言しています。 全員の合意がなければなにも決められない日本人の特徴は、世界でもひろく知られています。これはもちろん事実ですが、しかしだからといって日本人が特殊だということにはなりません。そもそも決断というのは、原理的に不可能なものかもしれないのです。 決断というのは、利害が対立する局面において
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