日本人は、身近な隣人となりつつあるムスリムの論理を理解しているか? そこに西洋文明中心視点の誤ったイスラーム解釈はないか? 世界のイスラームに関連するトピックを題材に、より深いイスラーム理解にたどり着くための往復書簡。イスラーム教徒でイスラーム法学者である中田考、非イスラーム教徒でイスラーム思想研究者の飯山陽、専門を同じくしつつも互いに異なる立場の2人による、火花を散らす対話。 「ハラール認証」制度などない 飯山陽 ハラールとは「許されたもの」 日本でもハラールという言葉を目にしたり耳にしたりする機会が増えてきました。ハラールとはアラビア語で、イスラム教の戒律において「許されたもの」の意味です。 ハラールは日本では、来日するイスラム教徒の観光客を歓迎する「おもてなし」の主旨や、在日イスラム教徒の利便性のため、あるいはより広く多文化共生の文脈で、「ハラール認証を獲得することはよいことだ」とい