こちらでは、おおくの人々に良寛さんとよばれ親しまれている、その人の言葉をとおして、その生涯と思想 (親しみやすさと優しい心、思いやりに満ちたあたたかな人間性、大切なその信仰) を見てゆくこととします。 1 我が生(しょう) 何処(いずこ)より来たる 去って 何処にか行く 「我が命はどこから(何の為にこの世に生まれて)来たのか。(何の為に生きているのか。そして、やがて)去ってどこに行くのか」 常に無一物で生きた良寛は、その慈愛を思わず落とす涙でしか表せない時も多かったのです。この世に生きている間その慈愛の心を持ち続けた(真の信仰の)人でした。 良寛は自然を、人を、特に純真で素朴な子供たちを愛しました。同時に自分に害を加えようとする人や盗人さえも愛しました。 美しい花々や庵(いおり)の小道の雑草を、小動物、鳥、昆虫を愛しました。さらに、その慈愛は生命あるものすべてに及びました。 良寛は多くの漢