「救済」のはずの施策が裏目に? 前線の医療部隊からの警告にもかかわらず、米軍は感染が拡大していた本国から第一次世界大戦の欧州戦線へ陸軍兵士を大量移送する。戦場で苦戦する自軍を「救済」するには、大量の兵員補充が必要だと考えたからだ。 その結果、部隊内でインフルエンザの感染が急拡大。前線ではインフルエンザで動けなくなる兵士が増え、その補充兵がさらに感染を拡大するという悪循環に陥った。1918年9月から戦争終結の11月までの2カ月間だけで、米陸軍兵士4000人が欧州へ渡る輸送船での移動中にインフルエンザ感染により戦地に赴くことなく死亡したという。 この史実から学べることは、感染者が多い場所から大量の人間を遠隔地へ移動させれば、確実に流行を拡散するという事実だ。しかも、近代以降の移動は徒歩や馬という開放空間ではなく、船舶や鉄道、バス、航空機といった密閉空間に長時間「密集」することになる。 地方の観
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