いまや「日本酒王国」と言えば、新潟ではなく福島だ。全国新酒鑑評会などで他県を引き離す。強さの理由は? 「『酒は福島』という評価がこれで定着するだろう」。5月18日、福島県酒造組合の新城猪之吉会長(65)は手放しで喜んだ。 新酒の品質を競う全国新酒鑑評会(酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催)の結果が発表され、特に優秀と認められる金賞(227点)の都道府県別受賞数で福島が18点と4年連続で1位を成し遂げたからだ。 1911(明治44)年から続く大会で、1980年代までは広島や兵庫といった酒所が中心だった。だが90年代に入ると「淡麗辛口」の酒が代名詞となった新潟が98年から4連覇を達成するなど一時代を築いていた。 鑑評会に出されるのは審査用の特別な酒が大半だが、市販の評価だと福島と新潟の差は顕著になる。東京の酒販店などが催す市販酒対象の「SAKE COMPETITION」という品評会では昨