朝、僕あてに一本の電話。事務パートの佐藤さんが電話をとり、風俗的な異人さんのようなビジネス口調で、カチョー、カチョーと呼ぶので、誰からの電話か尋ねると、ミヤザキさんです、という。知らない名前。個人名。セールスか借金取りに決まっている。用件だけきいておくよう指示を与えると、女性からですよ、といいやがる。みくびるな、切れ。デスクのうえで、女性からとは、しくじったか、と悔恨でぐずぐずしていると佐藤さんがメモを持ってきた。女性の名前と携帯番号が記されていた。 余談だが、電話番号を漢数字でメモしてしまうお茶目な佐藤さんは一身上の都合で金曜日に辞める。勤務日数五日間。いかん、いかん、これでは。 ミヤザキさんに電話。するとナウな感じの英語な会社名を名乗ったあとで彼女は用件を話した。<わたしたちはスカウト会社の者で、今回、クライアントさまの条件に合致したフミコさまに連絡をさせていただきました。フミコさまの