幸せな子―アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 [著]トーマス・バーゲンソール[掲載]2008年11月30日[評者]松本仁一(ジャーナリスト)■信念とけなげさに幸運が目を止めた 1944年のアウシュビッツ収容所は食べる物さえろくになく、人々はやせ衰え、働けなくなればガス室に送られた。子どもは役に立たないからと、多くが殺された。 その地獄を、10歳で親と引き離されたトミー少年が奇跡的に生きのびる。一体どうやって生き抜いたのか――。 著者のトーマス・バーゲンソールは国際司法裁判所の判事。チェコ生まれの米国人だ。ホロコーストが「歴史化」していく中、その一つ一つの生や死に人間の顔があるのだということを訴えようと、体験を本にした。 生きのびたのは、一言でいえば幸運だったからだ、と著者はいう。 収容所でガス室送りの選別があったとき、親しくなったポーランド人の医師が、リストからトミーの名前をこっそり外し
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