彼のギターは本当にすばらしかった。 彼の演奏が録音されたCDを 繰り返し、繰り返し聞くうちに、 実力の違いも省みず、 どうしても一緒に音を出したくなりました。 住む家が近いこともあり、 数分間でいい、いつの日か、近所の川辺で一緒に演奏してください、と、 私は先月のある日、メールに書きました。 すると翌日、彼は、 「来月のはじめからしばらく札幌を離れるので、 その前にやりましょう」 と言ってくれました。 うれしかった。本当に。 私の実力に探りをいれることもなしに、 こちらの思いをすんなりと受け入れてくれるその度量の大きさに、 感激もしました。 しかし、後日、彼の演奏をはじめて生で見た私は、 自分のお願いが度を越えて図々しいものであったことをさとりました。 今の自分には、彼の音を受け止めることも、 投げ返すことも一切できないということを、 実際にやってみるまでもなく、思い知ったのです。 彼には