さて、キャシャーンを見たんですよね。紀里谷和明監督のね。宇多田が主題歌を歌ったりしていたんだけども。 「みんなの願いは同時には叶わない」という歌詞があってね。悲観的なリアリスムの認識で、2004年の時代精神として。そしてキャシャーンという映画の主題歌としてもこれ以上のものはない。言うまでもなく911以降の世界を見ながら、その世界に対するパッションを叩きつけた映画の主題歌として……。当時の日本人の、イラク戦争なんかとの距離感はこういう歌のような気分が漂っていた。そんな気がします。 実はちゃんと全部見たのは初めて。それなのにいまさら何か書くってことはまあ刺さりまくったからで、普通に00年代の重要作のひとつになるだろうと、なってもよかったのにという後付の印象。まあ、当時は興行はともかく批評筋からはたいてい冷遇されており、今もその流れは続いていて2015年現在では新作もコケてしまいなかば道化となっ