冒頭、描かれるのは屠場へと引かれていく牛の姿。住宅地の道を牛は引かれていく。そして、やってきた屠場は昭和の香りのする古ぼけた建物だ。オートメーション化された近代的な工場スタイルではない。建物の中へ引かれていった牛は、頭にハンマーの一撃を食らって倒れる。まだ、ピクピクと動いている牛は手作業で手際よく解体されていく。そして、枝肉になった牛は軽トラックで運ばれる。肉はブロック肉にして、薄切りやさまざまな形で店先に。ホルモンは油かすになり、皮は太鼓の材料へと、文字通り余すことなく使われていく。画面に映し出される店頭に並ぶおいしそうな肉、そして新鮮なホルモンを見て、観客はみな思うだろう「晩ご飯は、肉にしよう」と。 今年、山形国際ドキュメンタリー映画祭や釜山国際映画祭での先行上映で激賞された『ある精肉店のはなし』。これが2作目となる纐纈(はなぶさ)あや監督が被写体にしたのは、大阪府貝塚市にある北出精肉
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