・・・すごい「映画」を観てしまった。 公開から2週間、既にそうそうたる批評家たちからの絶賛の嵐の中今更ではあるが、やはり語らずにはいられない。 冒頭のシーンこそ、こうの史代の可愛らしい絵柄でほんわか観ていたのだけど、 シーンがいくつか進んだところで、もう映画の世界に魅入らされてしまった。 完全に没入してしまったといっても過言ではない。 物語は、広島から呉に嫁いだ、すず、という女の子を戦前から戦中・終戦あたりまで描いたものである、 と書くと、数多くのドラマや映画、連ドラや終戦記念日特番などで描かれてきた戦中もののひとつかと思われるだろう。 その通りである。 物語の起伏は既存の数々の物語に比べるとむしろ非常になだらかであるかもしれない。 しかしその作り込みが尋常ではなかった。 あとで監督インタビューを読んで知ったことだが、監督はコニー・ウィリスのタイムトラベルもののように、観客を当時にタイムス