フィギュアスケートの羽生結弦選手が、頭部を負傷しながら強行出場したことが話題になっている。アスリートとしての不屈の姿を称賛する声が上がる一方で、危険の伴う行動でもあったことには間違いない。今回のことは「感動した」で終わらせていいものだろうか? 日刊スポーツの人気コラム「爲末大学」を執筆する為末大氏(36)が、寄稿した。 コンタクトスポーツではないフィギュアスケートの現場では、脳振とうの危険性を認識していなかったのかもしれないが、脳振とう後の演技は、命にかかわるほどの危険がある。 例えば、国際ラグビー協会のガイドラインでは「脳振とうの疑いがあるアスリートは、すべて適切な救急対応の手順に従ってただちにプレーをやめさせること」とある。短期間に2度目の脳への衝撃があった場合「セカンドインパクト」といって、致死率50%とも言われるような危険があるからだ。 そして脳振とうが疑われる症状としては「起き上