久しぶりにBENEDICT CAREY氏の『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された記事を紹介してみることにする。 精神医学の世界的研究者が精神疾患にかかっていたことを告白する、それは前例のないことではない。私などは、Kay Redfield Jamisonの名著“An Unquiet Mind: A Memoir of Moods and Madness”をすぐ思い出す。ただ、Jamisonは躁うつ病のせいで死の一歩手前まで行ったが、この記事の主人公マーシャ・M.リネハンは境界性パーソナリティ障害に苦しんだようだ。 マーシャ・M.リネハンの著作は、数冊日本語に翻訳されている。境界性パーソナリティー障害に対して彼女が編み出した治療法のオリジナルの名前は`Dialectical Behavior Therapy’なのだが、それが「弁証法的行動療法」と直訳されているのには少し驚いた。`dialec