この若手の批評家の書いたものはまだ読んだことがないので、 テレビの印象だけのべてみたい。 まず冒頭、かれは、自分はふだんアニメなどの批評をしている者 であり、オタクと呼ばれる人びとの代表としてこの場に出演して いる旨の発言があった。 これは興味深い自己認識である。 自分が他人の意見を代弁し得るという強烈な自意識には驚かされた。 さらに、その後、郵政選挙のときには「刺客」候補に投票し、 参院選のときは「みんなの党」に投票したと述べたところから 推すと、どうも他人指向の傾向をほとんど確信犯的に肯定している ように見受けられる。 つまり、自意識は過剰にあるが、内面は希薄なのである。 ■ また、かれの主張はほとんど技術論の範疇に属するのではないか。 そのようなかれの民主主義論の背景には、 東浩紀の民主主義2・0(情報技術によって大衆の無意識の欲望を 可視化することで専門家の熟議を枠づける仕組み)が