大学を中退し、6年ほど俺は憎悪と怒りに包まれていた。 世間体を気にしてばかりで自分の考えをロクにも持たず そのくせにして傷つけられる人一倍恐れて、そんな脅威を感じ取ると 1人1人じゃ何も出来ないくせにして団結して悪人とみなしたそれを共同体から排除しようとする "善良なる人々"がとにかくただ憎くてたまらなかった。 そんな奴らは個を消そうとしてまで空気を愛するのだから当然話していてもつまらぬ人ばかりだ。 テレビやタレントなどの低俗な話題に、低学歴がやるスポーツの話題に、誰と誰が付き合ったのだとか別れただの 俺は心底からうんざりしていた。本当に何も面白くなかった。 こうして俺は退学した後に本を読み漁るようになった。自分が間違ってなんかいないと確信を持ちたかった。 マジョリティに苦しめつつ成功した人の本、日本の閉鎖的な文化を批判する本、孤独であることを肯定してくれる本など とにかく色々と読み漁った