2016 - 02 - 01 犬が しんだ ただ それだけ のこと⑦ 冷たくなったLの身体を、私は泣きながら撫でた。 犬が死んだらどうしよう…と、犬達が元気な時から怯えていた。 それは、私は死んだ犬が怖くてきっと耐えられないと思っていたからだ。 けれども死んだLは、少しも怖くなかった。 恐ろしいのは、もうLが生き返らないという絶望感との闘いだけだった。 最初、興奮して暴れていた2匹の犬はいつの間にか静かになり、遠巻きにLと私を見ていた。 そして先住犬が先頭に立って、少しずつ近付いてきた。 恐る恐るLの身体の匂いを先住犬が嗅いだ。 ほんの数秒フンフンと匂いを嗅ぐと直ぐに、先住犬はLから離れた。 それに倣うように捨て犬がLの匂いを嗅いで、速やかに離れていった。 2匹は何かを感じ取ったらしく、Lには二度と近寄らなくなった。 私は昔、似たような事があったのを思い出していた。 小学校高学年の頃だ。